キャリアアップ助成金、令和4年度の変更点は5つあります。
令和4年4月からキャリアアップ助成金の正社員化コースの受給条件に次の5つが加わり、若干ハードルが上がりました。
この条件は、10月1日以降に正社員に転換する人に対して適用される為、今後もキャリアアップ助成金を申請するのであれば、これ等を就業規則や労働条件通知書等に規定し運用する必要があります。
この条件は、10月1日以降に正社員に転換する人に対して適用される為、今後もキャリアアップ助成金を申請するのであれば、これ等を就業規則や労働条件通知書等に規定し運用する必要があります。
- 毎年1回以上の定期昇給を制度化する
- 正社員に対する「賞与」又は「退職金」を制度化する
- 非正規社員の基本給、賞与、退職金のいずれかに正社員との待遇差をつける
- 契約社員の契約期間について制度化する
- 正社員転換後には試用期間を設けない
ひとつひとつザックリ解説!
1.毎年1回以上の定期昇給を制度化する
定期昇給制度を導入することが条件であり、毎年必ず昇給させることが条件ではありません。
例えば、運用した結果、評価が悪く昇給しないのであれば、それは仕方がないということです。
ただ昇給しなかった理由等を求められる可能性がありますので運用は必要です。
毎年1回(○月に)、社員の勤務制成績を評価し、基本給の増額又は減額改定を行う。ただし、会社の業績低下その他やむを得ない事由がある場合は行わないことがある。
2.正社員に対して「賞与」又は「退職金」の支給を制度化する
原則として支給する制度を導入することが条件であり、例えば賞与の場合、評価結果や業績が悪かったことを受けて賞与を支給しないことがあっても、助成金が不支給になることはありません。
ただ支給しない場合はその理由を求められる可能性がありますので運用は必要です。
正規雇用社員には、原則として賞与を支給する。ただし社員の評価、会社の業績によっては支給しないことがある。
3.非正規社員の基本給、賞与、退職金のいずれかに正社員との待遇差をつける
就業規則に基本給、賞与、退職金のいずれかに正社員と非正規社員の待遇差をつける条文を追加し、運用する必要があります。
また、10月1日以降に正社員に転換する非正規社員は、この待遇差がある期間が6箇月以上なければならない為、当然ですが対象となる非正規社員の労働条件の変更等は転換の6箇月前にはする必要があります。
非正規社員は時給制、正社員は日給月給制
正社員は賞与あり、非正規は賞与なし
正社員は退職金あり、非正規社員は退職金なし
正社員は賞与あり、非正規は賞与なし
正社員は退職金あり、非正規社員は退職金なし
4.契約社員の契約期間について制度化する
就業規則に有期契約社員の定義を記載し、その中で契約期間は、何年、何箇月なのかを定める必要があります。
1回の契約期間は3年以下とする
1回の契約期間は3ヵ月とする
1回の契約期間は3ヵ月とする
5.正社員への転換後には試用期間を設けない
諸々の正社員待遇の適用の有無に関わらず、正社員への転換後に試用期間が設けられている場合は、正社員に転換したものとは見做されなくなりました。
今回の変更で特に気を付けなければならないのは、「3.非正規社員の基本給、賞与、退職金のいずれかに正社員との待遇差をつける」だと思います。
非正規社員として待遇差がある期間が、待遇差を付ける制度(例えば、正社員にのみ賞与を支給する)を設けてから6箇月以上でないと助成金の対象にならないからです。
助成金事務センターに確認したところ、令和4年4月1日に今回の変更が発表された為、非正規社員にこの変更後の労働条件を適用できるのは4月2日以降という回答を受けました。
従って、令和4年4月1日に入社して6箇月後の10月1日に正社員に転換する人は、待遇差の期間が6箇月未満の為、対象にならなくなる可能性があるということです。
そもそも、なぜ待遇差を付ける必要があるのか・・同一労働同一賃金に反するのでは・・
ただ、そう決まってしまったのであれば、そうするしかないのでしょうか・・なかなか疑問がのこる変更です・・